アジア系女性はどう見られている?

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少し前、アジア系アメリカ人を対象としたウェブサイトに、こんな見出しの記事が載っていた。「アジア系女性は『性の脅威』か『同情の対象』」。

これは、アジア系以外のアメリカ人女性、つまり白人や黒人、ヒスパニック系などが、アジア系女性に対して抱いているイメージのことだ。若者を中心に聞き込みを行った 結果、この2つに分類される回答が最も多かったという。偏見や差別といった問題はひとまず置いておいて、アジア系女性が同性の仲間にどう見られているかを 取り上げている点が面白い。

アメリカ人男性のアジア系女性の見方というのは、かなり確立している。ゲイシャガールやチャイナドールといった根強いイメージから、彼女たちを性の対象として見る男性は少なくない。「Asian Fantasy」、「Beautiful Asian Girls」といったフレーズが氾濫しているアメリカのポルノサイトを見れば、そのことがよく分かる。アジア関連の出会い系サイトや掲示板などでは、「intimate relationship(親密な関係)求む」と言って群がってくる男性が後をたたない。小さい、華奢、控えめ、家庭的といった「フェミニンさ」も、アメリカ人男性には魅力的に写るらしい。彼らが抱くこういったイメージが、ほかのアメリカ人女性に「性の脅威」と感じさせる要因になっているのだろう。

一方、アジア系女性は性の犠牲者としても見られていることが、「同情の対象」という回答から分かる。これは、20世紀の戦争で多くのアジア人女性が性的奉仕に関わったこと(慰安婦は「sex slave(性的奴隷)」という言い方をされる)や、貧困に苦しむ途上国などでは、いまだに売春や人身売買などが行われていることなどが大いに影響しているらしい。また、男性中心の社会で従属的な生き方をし、発言力がないことなども、同じ女性の目には「かわいそう」と映るようだ。

興味深いのは、非アジア系女性がアジア系女性を見る時、そこに男性の存在を介している点だ。男性が性の対象として見た結果として「性の脅威」なのであり、 男性の従属的存在である結果として「同情の対象」というわけだ。「よき同僚」や「キャリア志向」、「おしゃれ」といった形容が出てこないのは、アジア系女性の社会進出がまだまだ遅れているためだろう。また、アジア系が多い大都市を除いては、存在感がまだあまりないのかもしれない。性の犠牲者というイメージ に至っては、彼女たちの先祖や祖国での出来事であって、アメリカのアジア系女性の実態とはまた別の話だ。

結局のところ、アジア系女性のことはよく分からないのだろう。アジア系は同じ地域にかたまって暮らし、自分たちの社会だけで生きる傾向が強い。また「サイレント・マイノリティ(発言をしない少数派民族という意味)」と呼ばれるほど、政治的、社会的な活動に消極的だ。最近、芸能界やメディアなどでアジア系の露出度は高まっているが、多くのアメリカ人は一般のアジア系女性がどんな特徴を持っているのか、どんな生活をしているのか分からないのだ。だから、男たちから聞いた話や歴史的背景を借りながら、フィルター越しに彼女たちを見ているのだろう。

余談だが、今アメリカで最も人気のあるアジア系女優と言えば、ルーシー・リューということになる。日本でも話題となったTVドラマの「アリーMyラブ」で個性をアピールし、2000年のヒット映画「チャーリーズ・エンジェルズ」を出世作として、人気を一気に高めた中国系アメリカ人だ。同じアジア系から見る と、彼女のどこがそんなにうけるのかさっぱり分からない。目は狐目でつり上がっているし、のっぺりとした顔はそばかすだらけだ。O脚で背も153センチと低く、ハリウッドとしては並以下のスタイル。とりたてて演技が上手いわけでもない。もっと綺麗なアジア系はたくさんいるのに、と思ってしまう。しかし、アメリカ人男性に言わせれば、彼女は「超ホット」なのだそうだ。

結局、彼女はアメリカ人が期待するアジア系女性の像なのかもしれない。アジア系女性にほりの深い顔立ちやナイスバディを望んでも意味がない。それよりも、 全体的に小さいつくりで、控えめなイメージのほうが、新鮮で性的アピールもある。ルーシーは、トレードマークの長い黒髪をいつもふさふさと揺らし、プレミアにはチャイナドレスを着て現れたりする。一方、映画の中ではカンフーも披露するし、アクションものを得意としている。そのギャップが魅力なのだろう。彼女は、アメリカ人好みのアジア系女性像に忠実なイメージで売り込んだことで成功した例といえる。おそらく、茶髪にすることなどは禁じられているはずだ。同じアジア系でも、「グリーン・デスティニー」に主演して一躍人気を集めたチャン・ツィイーのほうが、顔が小さくて本当のお人形さんみたいだし、演技も上手いと個人的には思うのだが、彼女は中国人で英語が全くできない。その意味で、ハリウッドでルーシーを抜くことは難しいだろう。

話がかなりそれたが、つまるところ、非アジア系女性がアジア系女性を見る目には、まだまだ改善の余地があるということだ。この話題について何人かのアジア系女性と話をしたが、みな「まぁ、そんなもんかもね」とわりとのんびり構えている。その1人はバリバリのキャリアウーマンだが、それでも悲観したり腹を立てたりすることはなかった。もしかすると、そういった面もアジア系女性の特徴の1つなのかもしれない。女性の権利を激しく主張したり、差別だ偏見だといって大騒ぎするのは、白人女性の特徴だ(これもまたイメージかもしれないが)。アジア系女性もフェミニズムに無関心なわけではないが、もう少し穏やかにマイペースでやっていこうとする様子がうかがえる。また、社会的な役割を分担するという文化もあるから、キャリアを最優先する人ばかりではない。それが逆にオリジナリティでもあり、ある意味、魅力でもあるのではないだろうか。

アメリカが同じような女性だらけになってしまったらつまらない。自分の魅力を大切にし、同時に大いに活用しながら、できることをやっていけばいいと思う。 アメリカのアジア系女性は、東洋と西洋のいいところを兼ね備えた「超いい女」になれる可能性を持っているのだから、何もムキになって白人女性の真似ばかりをすることはない。それに何と言っても、彼女たちが「性の脅威」と呼ぶのは、アジア系女性に対する嫉妬の表れ。それも敬意として受け取ることができる。

ということで、自画自賛(?)でこのコラムを結んでおこう。

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