女の友情 アメリカ編 その2

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アメリカ人女性の友情を語る時、忘れてはならないテレビ番組がある。日本でも衛星で放送されて話題になっている「Sex and the City」(SATC)だ。

HBOというケーブルテレビ局が制作したこの番組は、ニューヨーク(=The City)に暮らす独身女性の恋愛やセックスに対する本音をコミカルに描いたドラマで、キャリー、サマンサ、ミランダ、シャーロットという4人のキャリア・ウーマンが主人公として登場する。女性の関心事を現実的なタッチで取り上げたことで、1998年から2003年の放送期間中、常に高視聴率をキープ し、テレビ界における賞を多数受賞した。また、ドラマに出てきた最先端ファッションや都会的なライフスタイルにも注目が集まり、ここから多くの流行を生み 出すことになった。現在、地上波で再放送されて、人気がまた上昇している。

SATCでは、「女同士の友情」というのも大きなテーマとなった。4人は好みも考え方もバラバラだが、共に楽しい時間を過ごし、お互いの恋愛の相談に乗 り、失恋のつらさを分かち合う、とても仲のいい友達だ。時には喧嘩もするが、それぞれの個性をよく理解していて、都会的な大人の関係を維持しつつ、恋人と同じくらい(またはそれ以上に)、親友を大切にする姿が描かれている。

SATCを観たという日本の友達に、「あの内容はどこまで本当なのか」と聞かれたことがある。ドラマはしょせんドラマなのだが、少なくとも働く女性の関心 事がデートというのは本当だと思う。それはカリフォルニアの女性を見ていて実感する。しかし、女同士の友情については、あり得ないとは言い切れないが、 「あれほど深い関係でつながっているアメリカ人が一体どれだけいるだろうか」とかなり疑問視している。

都会の女、しかもキャリア・ウーマンは多忙を極める。夜遅くまで仕事をし、美容と健康のためにジムやエステに通い、キャリアのために大学院の講座を取り、 教養のために美術館や観劇に行く。その忙しい合間にデートをしていたら、女の友情が生活に入り込んでくる余裕はない。SATCでは4人がよくお洒落な店でランチをする場面が出てきた。しかし、実際のキャリア・ウーマンはお昼を簡単に済ませ、ランチの時間にも仕事をしたり、ジムで汗を流したりする。レストランで豪華にランチを取るのはビジネスが絡んでいる時だけで、友達とおしゃべりをするためではない。

キャリア・ウーマンでもエグゼクティブ級になると、お抱えのカウンセラー(サイコセラピストなど様々な役職名がある)がいて、カウンセリングに月数十万を 払っているという。カウンセラーはもちろん、心理学などの専門家なのだが、実際は患者の話をうんうんと聞いてあげることが仕事になっていたりする(よく何もしない高給取りの代名詞として使われる)。それでも、ニーズはしっかりとあるのだ。ちなみに、エグゼクティブでない私もカウンセリングを受けたことがあるが、一般論に照らし合わせたアドバイスしかできないカウンセラーに落胆し、「これなら友達と飲みに行って愚痴ったほうがよかった」と後悔した経験がある。

結局、キャリア・ウーマンには悩みを聞いてくれる友達がいない…ということではないだろうか。女というのは結構単純で、ひどく悩んだり落ち込んだりしていても、それを誰かに話すことで驚くほどすっきりしてしまうことがよくある。SATCでは、4人がいつも恋愛について井戸端会議をし、恥も外聞もなく自分の悩みを相談し合っている。でも、現実のキャリア・ウーマンはそれができないから、高額を支払ってカウンセリングを利用しなければならない。都会の女は孤独なのだ。

SATCの視聴者は7割以上が女性だ。「恋人がいるのに、既婚の元カレとヨリが戻ってしまった」とか「仕事で成功している女には男が寄ってこない」といった、現実味溢れるストーリーを展開して女性に親近感を持たせると同時に、理想的な女の友情を盛り込んで「こんな友達がいたらなぁ」という願望を反映させた。この現実と理想のほどよいバランスが、SATCの成功の大きな要因ではないだろうか。

ドラマのヒット以来、グループで来る女性客が増えた、と知り合いのレストラン関係者が言っていた。女同士でつるむことがトレンドなのかもしれない。ロスのお洒落なレストランやバーで、日焼けした肌を流行のファッションで包み、綺麗な色のカクテルを飲みながら盛り上がる女性グループを見かけると、「おっ、 SATC西海岸版をやってるな」とついつい目を奪われる。でも次の瞬間、「彼女たちの友情はドラマと同じわけないか」と、ちょっとシニカルな考えが頭をよぎるのだ。

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