書く力 その2 

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新刊やベストセラーに敏感な人は、この投稿タイトルから池上彰氏の著書「伝える力」を連想したことだろう。100万部くらい売れている大ヒット実用書なのだという。投稿タイトルをつける時、同著を意識したのは間違いない。

難しいことを分かりやすく解説する達人として知られる池上氏。確かにこの本も、非常に易しい日本語で書かれている。日常的に伝える行為を行っている人は、この本の内容がものすごく当たり前で、特筆すべきことはほとんどないと感じるだろう。しかし、伝えることが苦手な人、これから仕事で伝えることが求められる人には、その「当たり前」を身につける導入になるのかもしれない。

私が読んでとても気になったのは、「こういうことを今の日本の学校で学ぶことはできないのだろうか?」ということだった。「会議では一人一人の目を見ながら話す」という項があるが、そういった発表能力は、本来なら学生の時に訓練しなければならないはずだ。「わかりやすく伝える」という章に書かれている内容は、中学・高校の作文練習でやらなければいけないことだ。

私はアメリカの大学で、プレゼン、ペーパー(=レポート)、論文、スピーチなどを散々やらされ、コミュニケーション力を鍛えないとアメリカでは通用しないことを知った。「プレゼン」というクラスがあるのではなく、例えば「マスコミと法律」というクラスがあって、その中でプレゼンをやらされるのだ。日本の大学で一切やらなかったことに大きな比重が置かれていると分かり、日米教育の違いを痛感した。

だが、私が日本の大学に行っていたのはもう20年以上も前のこと。それから日本はグローバル化だ、コミュニケーションの時代だといって学校教育を見直してきたはず。それなのに今でも、日本の学校では伝えることの技術を教えていないのだろうか?もし教えていたら、これほど多くの人が池上氏の本をありがたがって読まないだろう。この矛盾は、英語教育と酷似している。社会に出た時に必要とされる実用が学校で身につかず、大人になってからお金を払って学び直すという共通項がある。

この本の大ヒットは、むしろ日本の教育の問題の大きさを指摘していることにならないだろうか?

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