カリフォルニア女はタフで美しい

2007年が明けて、アメリカの話題はもっぱら開会した連邦議会だ。民主党が12年ぶりに上下両院で過半数を奪回したことに加え、下院議長(Speaker of the House)に女性初となるナンシー・ペローシ氏(民主)が選出され、大きな注目を集めている。 Continue reading カリフォルニア女はタフで美しい

都合の悪い真実

ほとんど映画館に足を運ぶことのない私が、立て続けに2本の映画を観た。「An Inconvenient Truth」と「Who Killed the Electric Car?」だ。どちらも環境問題を扱ったドキュメンタリーで、限られた映画館でしか上映していない。だが、それなりに健闘しているようだ。 Continue reading 都合の悪い真実

ビーガン(Vegan)市場が急上昇

アメリカの都市部では最近、Vegan(ビーガン)と呼ばれる人達が増えている。 ビーガンはベジタリアンの中でも一番厳しい完全菜食主義のグループ(純粋菜食主義とも訳される)。肉や魚だけでなく、乳製品や蜂蜜など動物から取れたものは一切口にせず、皮やダウンと いった動物性の素材を用いた衣服も着用しない徹底ぶりだ。動物愛護や環境保護、反戦などとも深く結びついており、単なる食事法に留まらず、個人の主義・思想が伴っていることが特徴となっている。ライフスタイルということもできるだろう。 ビーガン層の拡大とともに、その市場が急上昇している。ビーガン・レストランが各地にオープンし、ビーガン・シェフも登場している。ビーガンに関する本も次々と出版され、企業もビーガンを対象とした商品開発に力を入れている。 動物性の食材はすべてダメなので、ビーガンはタンパク質の摂取を豆類(特に大豆)に依存している。そのため、日本でも注目を集めているテンペを使ったハンバーグを作ったり、大豆をパテ状にして鶏肉風にしたり、牛乳の代わりに豆乳を使ったりと、独自の調理法を開発している。また小麦グルテンから作られた「穀物の肉」と呼ばれるセイタンも、欠かすことのできない材料だ。 「Native Foods」 はカリフォルニアの有名なビーガン・レストラン。現在、ロサンゼルスとパーム・スプリングス地域に4店舗を展開し、来年はさらにサンディエゴとサンフランシスコに新規オープンする予定だという。その後、フランチャイズ化の計画もあるという急成長中のレストランだ。店のスローガンは「Eat Peace」。 ビーガン・ビジネスはビーガンだけを対象としているわけではない。普段は肉を食べる人も、有機野菜たっぷりのサラダや栄養豊富なテンペ料理を食べるために、ビーガン・レストランに足を運ぶ。新鮮な素材を使ったレシピを知りたくて、ビーガンの料理本を買う。ビーガン枠の外にいるが、健康に気を使う人やグルメな人たちが、ビーガン・ビジネスを支える大きな市場になっているのだ。 Native Foodsのメニューを見ると、テンペやセイタンだけでなく、白米、玄米、ジャスミン米、そば、枝豆といったアジアの食材が多種使われていることが分かる。ビーガンは、穀物や豆類をふんだんに使ったアジアの食文化なしには成り立たないと言っても過言ではないだろう。アメリカにおけるアジアフードの人気は、こういう側面からも支えられている。日本の食品会社にも、大きなビジネスチャンスがある。 国全体として「肥満大国」路線を直進する一方で、こういう一端があるのはいかにもアメリカらしくて面白い。しかし、ビーガンの広がりは都会のごく一部における傾向であって、国民の大半はビーガンという言葉すら知らないのが現状だ。

カリフォルニア州知事選 もうひとつの見方

カリフォルニア州知事の再選挙が、日本でも話題になっているようだ。「カリフォルニアにかかると選挙もお祭りになる」と見られているみたいだが、今回の再選挙に関しては本当にその通りかも知れない。 カリフォルニアというパワフルではあるが、アメリカの一州にすぎない地方の選挙がこれほど盛り上がっているのは、もちろん世界的な映画スターのアーノルド・シュワルツェネッガー氏が立候補したからにほかならない。そのため、話題は政治ニュースの域を完全に超えてしまい、芸能ニュースや海外ニュースとして全世界に広まっている。メディアの報道合戦も激しさを増すばかりだ。 日本にはほとんど伝わっていないようだが、ここカリフォルニアでは、シュワルツェネッガー氏が著名な俳優であること以外にも、彼の立候補が意味することについて議論されている。 考えてみて欲しい。シュワルツェネッガー氏はハリウッドのアクションスターとして世界的な人気を獲得したが、彼がオーストリアの出身であることも周知の事実である。そう、彼はボディビルダーとして1968年にアメリカにやってきた移民なのだ。アクセントのある独特な英語を話し、常にオーストリアのことを語るシュワルツェネッガー氏は、彼が大きな成功を手に入れた移民であることを、いつも我々に思い出させてくれる。 アメリカでは移民にも多くの政治的な権利が与えられているが、アメリカに生まれた人間でなければ、大統領に立候補することはできない。言い換えると、シュワルツェネッガー氏のように、帰化することで市民権を得た人間は大統領にはなれないのだ。とすると、移民が就くことのできる最高の政治ポストは州知事ということになる。「知事よりも連邦議会の議員のほうが上だろう」というのは、中央集権制の日本的な考え方。50州が共和制をとるアメリカでは、各州が小国家の役割を果たしており、行政の仕組みや州法、税制まで、州によって大きく異なる。連邦議会の議員は「ワン・オブ・ゼム」、つまり大勢の中の1人に過ぎない が、州知事は一国一城の主として大いにリーダーシップを発揮することができ、同時に州民に対して大きな責任も持つことになる。 移民であるシュワルツェネッガー氏が、カリフォルニアという偉大な小国家を司ることになるかどうか。日本ではガイジンが知事になることなど想像つかないかもしれないが、人口の4人に1人が海外生まれというカリフォルニアでは、移民が知事になってもおかしくない時代が来ている。そこに人々の注目が集まっているのだ。アメリカ史上で移民の知事は過去にも例があったそうだ。建国直後は海外からの流入者が人口の大半を占めており、当然その中からリーダーを探すしかなかったわけである。しかし、現在のような移民法が制定され、「アメリカ人」が存在するようになってからは、カリフォルニアで一度も移民の知事は誕生していない。それどころか、有力な移民の候補者さえ出たことがないのだ。 ところがこの再選挙では、これまでの沈黙を破るかのように、多くの移民が立候補している。正確な数字は発表されていないが、135人いる立候補者の1割近くは、その略歴から外国生まれであることが分かる。出身地も、メキシコ、インド、ベトナム、イラン、イラク、オーストラリアなど、とにかく多様そのもの だ。これまでの世論調査では、シュワルツェネッガー氏(共和)が最有力と言われているが、その対抗馬として、女性コラムニストのアリアナ・ハフィントン氏 (無所属)の名前が上がっている。彼女はギリシャ生まれだ。 彼らのバックグランドが選挙で有利になるか不利になるか、ということが連日議論されているのだから、カリフォルニアという土地は面白い。この選挙は「移民が政治にどう関わるか」を試す機会でもあるのだ。移民が自分たちの中から代表を選ぶようになるのか、アメリカ人も移民に政治を任せるようになるのか、出生地は政治家の資質と関係ないことなのか。そういうことが問われているのである。 お祭り騒ぎであることも事実。でも今回の選挙は、カリフォルニアの多様性そのものを反映している。さて、どんな結果がでるのだろうか。みな10月7日を心待ちにしている。